Buck Mason: Stripe Terminal を活用して強力なユニファイドコマース小売プラットフォームを構築

Buck Mason はカリフォルニアを拠点とする衣料品ブランドです。ビンテージから着想を得て、現代の消費者に合わせて洗練させたメンズウェアとウィメンズウェアを製造しています。10 年前にベニスビーチのガレージで EC サイトを立ち上げてから、現在では 30 カ所の実店舗を構えるまでに発展しました。

使用製品

    Terminal
北アメリカ
スタートアップ

課題

Buck Mason の共同創業者である Sasha Koehn 氏と Erik Allen Ford 氏が同社を創業したときに掲げた目標はシンプルなものでした。T シャツ、ジーンズ、オックスフォードシャツなどのアメリカの伝統的な定番服を、最高品質の生地と職人技に重点を置いて再構築するという目標です。

2 人は 2013 年から、刷新した定番服のオンライン販売を始めましたが、地元のベニスビーチ地区で小売店を開くチャンスがすぐに巡ってきました。どこにでもあるような衣料品店を開くのではなく、Buck Mason ストアを居心地のよい憩いの空間にするという構想を思い描き、壁にアートが飾られていて、高級家具があり、ドリンクと音楽を楽しめるようにしたいと考えました。

このような事業成長の舞台裏では、CTO の Nick Merwin 氏が、オンライン取引と対面取引を処理するカスタムの小売テクノロジープラットフォームの構築に取り組んでいました。Merwin 氏が構築していた POS を EC ストアのストアフロントと連携させることができる市販の製品がなかったため、Buck Mason 固有のニーズに合わせてカスタマイズできるように、ソリューションを自社開発することを選びました。

2018 年内に Buck Mason は 5 店舗を構えるまでに成長しましたが、取引の処理は依然として Merwin 氏が手がけた自社構築のソリューションで行っていました。市販の磁気カードリーダーを利用して、購入者のクレジットカード情報を Buck Mason のブラウザーベースの POS に読み込むというソリューションで、そのカードリーダー自体は Buck Mason の小売管理バックエンドと連携していましたが、時代は変わりつつありました。

ブラウザーウインドウでのクレジットカード情報の取り扱いに関する PCI 準拠要件がますます厳しくなり、非接触型決済が普及し始めていました。Buck Mason は新しい店舗内の決済ソリューションを必要としていましたが、そのソリューションは開発者が扱いやすいものでなくてはなりませんでした。Buck Mason のカスタム POS に対応でき、バックエンドとの連携が簡単で、新しい小売管理機能の継続的な開発に役立つ強力な機能を提供するシステムであることが必須でした。

解決策

Buck Mason はその当時発売されたばかりの Stripe Terminal が店舗内のニーズに合う手っ取り早いソリューションだと考えました。さらに、POS とバックエンドシステムの継続的な改善とカスタマイズも可能な柔軟なプラットフォームでもあります。

Merwin 氏は 2013 年頃にストアの EC サイトの初期バージョンで Stripe の当時の Payments API を使用したことがあり、Stripe のテクノロジーをすでに熟知していて、Stripe の API ドキュメントや開発者向けサポートの充実ぶりに感銘を受けていました。Merwin 氏は次のように述べています。「開発者にとって Stripe の使いやすさは段違いです」

そのテーマは Terminal にも引き継がれています。Terminal では利用者が自社構築の POS を利用できるようになっており、それと同時に、PCI への完全準拠と取引のエンドツーエンド暗号化も実現しているという重要な強みがあります。また、非接触型決済も提供していて、Buck Mason のブラウザーベースのアーキテクチャーにも対応しているため、小売店スタッフがタブレット、ノート PC、携帯電話を使って注文を処理でき、Buck Mason が柔軟な顧客体験を提供するうえで役立っています。

Koehn 氏は次のように述べています。「当社の販売スタッフは店舗内をあちこち動き回っているので、今いるその場でお客様に対応して、そこですぐに決済をしています」

Terminal は、「スピーディーで効率のよい購入体験を維持しながら、POS を可能な限り強力にする」という Buck Mason の目標達成の助けにもなりました。Terminal を利用することで、Buck Mason は POS を継続的に改善し、ブラウザーインターフェイスから直接、新規購入、返品、交換、別のフルフィルメント拠点からのラインアイテムの発送など、さまざまなアクションを実行できるようにしました。Merwin 氏は次のように述べています。「できるだけお客様とのやり取りの妨げにならないような店舗内ソフトウェアにすることをずっと目標にしてきました。数回クリックするだけでなんでもできるようにしたかったのです」

Terminal と Buck Mason のカスタム小売管理バックエンドやオンライン注文用の別の決済フローといった技術スタックを連携させることも、Stripe の API を使用して簡単に行えました。このようなシームレスな連携により、Merwin 氏のチームは支払いの分割、返品や交換時の差額の返金または請求など、ユニファイドコマース体験に対応するための新機能を開発することができました。

たとえば、購入者がオンラインでジーンズを購入し、後日 Buck Mason の店舗を訪れてそのジーンズを返品して T シャツを購入した場合、返金する必要があるのは価格の差額のみとなります。Buck Mason のシステムは、Terminal で処理された店舗での取引を認識し、その取引を購入者の当初の購入内容と関連付けて、オンラインで当初支払った金額の一部を返金します。

結果

拡張可能なテクノロジーソリューションで売上が 2 桁成長

Stripe は Buck Mason の小売事業を拡大するうえで不可欠な存在になりました。2018 年以降 Buck Mason は 25 店舗を新たにオープンし、アメリカ国内での店舗総数は 30 店舗に達しました。今では、店舗での小売売上高が総売上高の 50% を占めており、この 10 年間の年間成長率は 2 桁と著しいものでした。

新しい販売モデルとサービスモデルのスピーディーな開発が可能に

Stripe の API は開発者にとって扱いやすいため、Buck Mason がユニファイドコマース戦略を改良するのにも役立っています。たとえば、新型コロナウィルスの世界的流行時のロックダウンで小売店が苦境にあった際にも、Buck Mason は Terminal と自社の POS や小売管理プラットフォームとの連携機能のおかげで、オンライン注文と店舗受け取りの機能をすぐに立ち上げ、システムは 2 週間で本稼動を始めることができました。Merwin 氏は、Terminal の柔軟性がなければ開発に 3 カ月から 6 カ月はかかっていただろうと振り返ります。Merwin 氏は次のように述べています。「そのおかげで 1 店舗も閉店することなく乗り切ることができました」

Terminal の連携機能を利用したもう 1 つの新しいサービスは、オンラインで注文された商品の在庫が Buck Mason の倉庫にない場合、店舗の在庫からフルフィルメントする機能です。Koehn 氏の推測によると、オンライン注文の 15% は店舗の在庫からフルフィルメントすることになる見込みです。Koehn 氏は次のように述べています。「『最後の 1 缶まで売る』という小売業の格言があります。Buck Mason は、小売店をフルフィルメントセンターとして活用できるようになりました。当社の POS に欠かせない存在である Stripe がこのプロセスの立役者です」

POS の機能を拡張してさらに優れた顧客体験を実現

Buck Mason は 2018 年から POS の機能を大幅に改良していますが、Terminal の 1 つの API、柔軟な決済受け付け機能、PCI 準拠の認定取得済みのカードリーダーといったその他の機能も開発者の工数を減らす助けになりました。現在、Terminal は非接触型決済や、決済フロー内で行う、服のサイズ調整、デジタルギフトカードや物理ギフトカードの購入、過去の複数の注文品の返品や交換への対応、倉庫または他の店舗から発送するアイテムの指定などのさまざまなアクションの確認画面にも対応しています。磁気カードリーダー 1 台の基本的な機能から、ずいぶんと進化したものです。

シンプルな料金体系

手数料によるわかりやすくシンプルな料金。 初期費用や月額費用の固定費はありません。

簡単に導入開始

わずか 10 分程度で Stripe に登録し利用開始できます