課題
フランスの文化に深く浸透しているブランド La Redoute は、1837 年に北フランスの毛織物工業が盛んな地域の中心部で梳毛紡績工場として創業した会社です。長年にわたって何度も改革を行い、通信販売カタログで何百万人もの顧客にファッションや家庭用品を販売する巨大小売業者へと成長しました。
ヨーロッパ有数の小売業者としての地位を維持するために、La Redoute は E コマースを全面的に取り入れ、現在ではウェブサイトのユニーク訪問者が 20 カ国以上の 620 万人に達しています。2022 年に、経営陣はそれまで連携していなかった La Redoute のレガシーの決済システム網を単一のグローバルソリューションに置き換える必要があると判断しました。既存の技術スタックでは国ごとに別のソリューションを利用していたため、効率が悪く、管理が大変でした。
新ソリューションを調査するにあたってはまず、グローバル展開と速やかな入金をスムーズに行える決済サービスプロバイダーを見つけることを最優先にし、シンプルな決済プロセスと多彩な決済手段で顧客体験を改善しようと考えました。
決済テクノロジーの最新化の際には、強力な顧客認証 (SCA) に準拠できるよう支援してくれるペイメントプロバイダーも必要でした。強力な顧客認証は不正利用の抑制とオンライン決済の安全性向上を図るために導入されたヨーロッパの規制要件です。また、La Redoute は高い認証率を保ちながら不正利用を阻止できる総合的な不正防止策も必要としていました。
La Redoute が求めていたのは、取引や顧客データを簡単に一元管理できる単一ソリューションでした。実現すれば、サイロ化した複数のシステムのデータ管理を担当していた経理チームの作業が軽減されます。
解決策
La Redoute はバラバラに分かれていた決済スタックを置き換えるために Stripe を選びました。Stripe の総合的な金融インフラを利用すれば、La Redoute の革新的なビジョンを支援してくれるパートナーを得ることができ、顧客が期待していたトップレベルのコマース体験を作り出せるという確信がありました。
グローバル決済処理に Stripe Payments を導入したほか、Payment Element や各顧客にとって最も関連性の高い決済手段を動的に表示する、決済フローを最適化する Stripe のプロダクトも導入しました。
Payment Element を利用したことで、La Redoute はコードをまったく記述せずに新しい決済手段を簡単に追加できるようになりました。Apple Pay、Google Pay、PayPal、Klarna や後払いなど、広く利用されている決済手段を追加すると、新市場に参入しやすくなり、幅広い顧客基盤に対する訴求力が高まるため、購入完了率の大幅な向上につながります。
La Redoute は早期入金に対応した Stripe の入金スケジュール繰り上げ機能を有効にしたため、売上を翌日には利用できるようになり、1 日以内の入金が可能になりました。事業運営と財務のワークフローを改善するために Stripe Sigma も利用し、自社のすべての Stripe データにすぐにアクセスして分析できるようになりました。
グローバルな不正防止策として利用したのは Stripe Radar です。Stripe Radar は数十億のデータポイントでトレーニングされた機械学習を利用しているソリューションであり、不正利用を自動的に検出して阻止します。不正防止策のさらなる強化と SCA 要件への準拠を実現するために、追加のセキュリティ対策として 3D セキュアに対応した Payments にも頼っています。その結果、決済の認証のスムーズさは損なわずに、不正利用が大幅に減りました。
La Redoute の最高情報責任者を務める Jean-Cédric Costa 氏は次のように述べています。「機械学習を活用した Stripe の認証エンジンによってスムーズな 3DS フローと認証免除フローを実現できています。不正利用のリスクが軽減されただけでなく、顧客のショッピング体験も確実にレベルアップしました。Stripe のおかげでメリットづくしのショッピング体験を実現できたので、当社もお客様も安心です」
La Redoute は Stripe プロフェッショナルサービスと密接に協力して決済の変革を成し遂げました。Stripe プロフェッショナルサービスは La Redoute の新しい顧客中心型の決済体験を支える戦略を推進し、変革によって La Redoute 全体が受ける影響を乗り越えられるように指南しました。また、La Redoute が導入に関連した課題に対処して順調に運用を開始できるように手助けもしました。たとえば、プロフェッショナルサービスチームは Stripe の Payment Element プロダクトチームと連携して、新しいカードブランド選択機能の開発が前倒しで進むように調整し、イギリスでシステムの稼動が始まるタイミングで厳格な顧客管理 (EDD: Enhanced Due Diligence) の対策を講じられるようにしたため、La Redoute と Stripe 間でのシームレスな顧客体験と運用の互換性が維持されました。
La Redoute とプロフェッショナルサービスチームとの提携が始まったのは 2022 年からです。当初は決済の変革を進めるためでしたが、La Redoute の新しい決済ソリューションの拡大に合わせて、協力体制も拡大し続けています。La Redoute のプロダクト責任者を務める Jean Viala 氏は次のように述べています。「導入チームが積極的にきびきびと対応してくださったおかげで、スムーズな最善の体験を実現するのに最適なソリューションが見つかりました。全員が大満足です」
結果
La Redoute はわずか数回のクリックで新しい決済手段を追加
La Redoute が新市場で新規顧客を獲得するには、その市場の顧客が好む決済手段を提供する必要があったため、新しい決済手段を簡単に追加できる機能が何より重要でした。決済フローを最適化するプロダクトを導入したことで、La Redoute は貴重な技術リソースが社内の導入作業で消耗する事態に陥ることなく、新しい決済手段をすぐに追加できるようになりました。
Costa 氏は次のように述べています。「これまでだったら、新しい決済手段を追加しようと思っても、たった 1 カ国の 1 つの決済手段の導入ですら 6 カ月から 9 カ月はかかっていたでしょう。今はほんの数回クリックするだけで追加できます。デジタルエクスペリエンスチームに頼む必要もありません。決済フローに決済手段を導入する手順が完全にシームレスだからです」
広く利用されている新しい決済手段を導入したことで購入完了率が向上
La Redoute が Apple Pay や Google Pay などの新しい決済手段を導入して決済フローを刷新したわずか 2 週間後に、購入完了率が 2% 上昇しました。まさにこれらの新しい決済手段による効果です。
また、ドイツ、イタリア、フランスやヨーロッパ域外のさまざまな国で特によく利用されている決済手段である PayPal や、分割払いが可能になる後払いオプションも追加しました。
スピーディーな入金、ビジネスに関するインサイトへの簡単なアクセスによって効率が向上
La Redoute はビジネスや財務面でのメリットも実感しています。早期入金機能が加わったことで、売上が従来より早く振り込まれるようになり、資金管理をより柔軟に行えるようになりました。
Costa 氏は次のように述べています。「Stripe と連携して売上の移動方法を柔軟に選べるようにし、当社の銀行口座への翌日入金を実現しました。Stripe の T+1 入金を導入したことで、金利に合わせた最適化と、エンドユーザーやパートナーへのスピーディーな資金移動が可能になりました」
また、Sigma ですべての取引と顧客データを 1 カ所で確認できるようになったため、状況を一元的に把握でき、これまで複数のシステムにわたるデータの照合に費やしていた作業時間が削減されました。
不正防止策で決済フローの手間を増やさずに取引の安全性を確保
La Redoute は Radar と 3DS 対応機能を活用することで、不正利用を自動検知する安全な決済フローと、スムーズな決済体験を実現する最適化を両立できました。La Redoute が構築した Stripe システムでは 3DS の適用が免除となるケースが増え、どの国でも 80% 以上の取引がフリクションレスになりました。また、Radar と Payments を導入したことで、La Redoute の認証率は 98% を超えました。
La Redoute は素晴らしい歴史を持つ企業ですが、運用システムや作業の進め方の面では時代遅れな点が多々ありました。Stripe ならレガシー企業が求めているテクノロジー、信頼性、最新性を提供してくれるだろうと思いました。Stripe のおかげで当社のデジタルプラットフォームの顧客体験は間違いなくすべての国で大幅に向上しました。