課題
トーレンス大学はオーストラリアで最も目覚ましい成長を遂げている大学で、柔軟で自由度の高い学生体験に重点を置きながら、キャリア形成を重視した教育プログラムを実施しています。入学してから卒業するまで、可能な限り最高の大学生活を学生に提供することを目指しています。しかし、学生たちが受講登録するとすぐに、決済ポータルの課題が浮かび上がりました。たとえば海外からの留学生の場合、クロスボーダー決済で授業料を支払う際の選択肢が限られていました。
同大学の財務担当バイスプレジデントである Adam Guinea 氏は次のように話しています。「教育にはお金がかかりますし、本学にはオーストラリア国外からの留学生が大勢いますが、留学生たちには我が国の銀行システムについての知識がありません。大きな金銭的な決断をしようとするときに、そっけなくなじみのない決済インターフェイスに触れて不安になるのは当然です」
同大学は、学生たちにとって親しみやすいインターフェイスを構築することに加えて、より拡張性の高い決済インフラも求めていました。従来の銀行システムを基に構築されたそれまでのシステムは、直感的な操作性に欠けるうえ、使える決済手段も限られていたため、グローバル展開可能で、成長に合わせて拡張できるようなインフラに切り替る必要があったのです。「決済に関しては、再現性と拡張性を重視していました。最小限の調整で新しい市場に参入でき、増大する取引量に対応しやすくなることが重要だったのです」と、最高情報責任者である Ashish Bharadwaj 博士。
このようなニーズに加え、バックエンドの業務を改善できるようなソリューションも必要としていました。決済情報にリアルタイムでアクセスし、決済処理と照合を自動化することで、手作業に頼らず決済体験を向上させることが可能なはず。こうした方法なら、チームが業務上の意思決定を下す際に使える財務データも取得できるでしょう。しかし連携していない 2 つの決済プロバイダーを使っていたため、これは不可能でした。
ソリューション
チームの課題に対処するため、トーレンス大学は決済インフラの変革に着手。融通のきかないこれまでの銀行システムから、もっと柔軟で学生の決済体験を制御しやすいシステムに切り替えるため、Stripe を導入しました。たとえば連携していなかった 3 とおりの決済チャンネルを単一のプラットフォームに統合。Stripe の導入によって、外国為替による電信送金という複雑なシステムと、金融機関相互の連携不足で扱いづらいの処理ページから解放されました。
今や学生たちには、利用しているブラウザーと IP アドレスに基づいて、最適な決済手段が自動的に表示されます。「Stripe はスピーディーで対応に満足できるビジネスパートナーです。Stripe のおかげで、大学のプラットフォームを学生たちに合わせて調整でき、新しい決済タイプや通貨にも対応できるようになりました」(トーレンス大学シニア管理会計士 Sarah Chan 氏)
トーレンス大学は Stripe の導入チームおよびプロフェッショナルサービスチームと緊密に連携し、Stripe Payments と Stripe Elements を使って、同大学ならではの要件に合わせたカスタムの決済インターフェイスを開発。Chan 氏は次のように話しています。「Stripe のプロフェッショナルサービスチームは私たちのニーズに最適なプロダクトを使って、いかにも本学らしい決済ポータルを作り上げてくれました。Stripe のチームは私たちが考えたこともないような質問を投げかけてくれました。そのおかげでカスタムソリューションを構築することができたのです」
同大学は Stripe Elements を使って、WeChat、Alipay、BECS ダイレクトデビットといった新しい決済タイプを含めたユニークなページを作成。また Stripe の Foreign Exchange API と連携することで、学生たちは自国通貨に換算した金額をすぐに確認でき、入学手続きがさらにスムーズになりました。手動でのやり取りと書類作成のために数週間かかっていた決済システムに代わり、シンプルで直感的なインターフェイスを備えたスピーディーでリアルタイムの決済が実現しました。
入学人数の増加にともない、トーレンス大学は学内での決済処理をより効率的に管理するため、Stripe ダッシュボードを導入しています。ほぼリアルタイムで決済を処理できるため、大学の各チームは決済トレンドのモニタリング、分析、レビューをすばやく行い、十分な情報に基づいて業務上の意思決定を下すことができます。ダッシュボードでは、不正利用の検知や、決済レポートへのスピーディーなアクセスも可能で、取引失敗も管理しやすくなっています。
成果
最新の決済ソリューションを短時間で導入
Stripe のプロフェッショナルサービスチームと連携しながら新しい決済ソリューションを設計、導入することにより、大学単独で行うよりも約 66% の時間短縮を実現。導入時間は全体で約 10 週間でした。「作業の過程で双方のチームがお互いに学び合うことができ、その共同作業があったから、時間どおりに予算内で終わらせることができたのです。非常に満足のいく結果です」と、Bharadwaj 博士は語っています。
1 万 9,000 人以上の学生がシンプルな決済ページを利用し、2 時間以上かかった複雑な書類作成の時間をわずか数分に短縮
Stripe によって、トーレンス大学はすべてがカスタマイズ可能な決済ポータルを構築し、1 万 9,000 人以上の学生の入学手続きを効率化。従来の銀行の時代遅れな決済ポータルに代わって、海外送金と国内送金を統合することで、学生の決済手続きにかかる時間を劇的に短縮できるようになりました。Stripe Payments を利用することにより、学生たちは通貨の違いや複雑な海外送金の操作に煩わされることなく、好みのやり方ですばやく、簡単に決済を行うことができます。
また Stripe Payments を使って、学生の ID 番号やその他の情報を決済ページに自動入力する仕組みを構築したため、以前に受講していた学生は次の学期の受講登録を簡単に行えます。ペイメントゲートウェイにこの大学らしさという要素を加えられるので、サイトへの学生の信頼も高まります。カスタムページはトーレンス大学らしい雰囲気があり、サードパーティー製の決済プラットフォームという感じがしません。
こうした変更の影響は、決済の瞬間だけでなく決済プロセスの至るところで感じられます。「以前なら、海外留学生は書類を記入して送らなければならず、手続きには数日、数週間もかかっていました。
Stripe を使ってはるかに優れた UI を構築でき、手続きにかかる時間を数日から数分にまで短縮すると同時に、決済処理の失敗率を下げることもできました。その二点によって、ユーザー体験は劇的に向上しました」と、Bharadwaj 博士は語ります。
新しいタイプの決済と 9 種類の主要通貨に対応し、新しい市場にすぐ進出することが可能に
トーレンス大学の発展につれて増加する学生に対し、新しい通貨や決済のオプションを提供することも簡単になりました。現在は、9 種類の主要通貨と、続々と登場する新しい決済タイプを受け付けています。Guinea 氏は次のように述べています。「本学では数万ドル単位の決済を取り扱っています。これまで貯めてきた貯蓄を、こうした支払いに充てている人もいるでしょう。安心と手軽さを感じる決済手段を使えるということは、大きな決断を慎重に下す際の助けになります」
「Stripe によって、本学もそうした成長を遂げやすくなりました。ある決済タイプを有効にしたい場合は、ボタンをクリックすればよいのです。自分たちのペースで動くことができます」(Chan 氏)
成長する事業には、より信頼性の高い決済インフラを
親しみやすさが増した UX と、スピーディーになった決済処理から学生たちがメリットを得る一方、トーレンス大学のチームは事業拡張を目指して Stripe を活用しています。リアルタイムの決済レポートによって、財務チームは決済の失敗や不足をすばやく特定できるので、すぐに学生に連絡を取ることができます。
同大学では Stripe Payments を使って、決済コストを最低限に抑える方法を自動的に選択しています。最もコスト効率の高い決済ネットワークを使って決済手数料を節約した結果、年間 10 万ドル以上を節約できると見込んでいます。
続いてトーレンス大学は、複数の授業課程の請求処理プロセスを Stripe Invoicing に統合して、夜間のバッチ処理をやめて、リアルタイムの請求書生成に切り替える作業に取り組んでいます。「データは現実に事を起こす原動力です。Stripe によって、かつてない速さで財務データにアクセスできるようになりました。そうした情報を活用して、大学と学生たちの双方にとって、より良い意思決定を行うことができます」と、Bharadwaj 博士は語っています。
Stripe を導入したのは繁忙期でした。通常は大規模で複雑な変更の際は、ちょっとしたトラブルを覚悟するものですが、万事スムーズでした。これこそ、プロフェッショナルサービスチームとともに進めた計画やテストがすべて正しかったという証拠です。自分たちが何をしているかを、彼ら自身正確に把握していたことがわかりました。