課題
北海道石狩市は、最先端のオンデマンド交通サービス「いつモ」の実証実験を始めました。スマホから予約することによって、バスのように乗り合いしながら、タクシーのようにきめ細かく利用できることが、オンデマンド交通の特徴です。
札幌市の北隣に位置する石狩市は、港湾部に約 3,000 ヘクタールの工業団地を構えた物流の重要拠点です。石狩湾新港地域に立地する企業は 700 社を超え、日中は約 2 万人が働いています。近年は再生エネルギーの適地としての企業誘致も積極的に行われていますが、通勤の手段がマイカーと送迎バスにほぼ限られており、通勤需要にマッチした公共交通サービスの導入が課題となっていました。
また、高齢化の進む石狩市内には免許を持たない世帯も増えており、日常の買物需要に応えるための、きめ細かな交通サービスも求められていました。
「通勤と生活、2 つの移動に応えるために、石狩市では 2018 年ごろから新たな公共交通についての議論を交わしていました。そして 2022 年 10 月から『オンデマンド交通』の実証実験を、日本の自治体として先駆的に始めたのです。トライアルでは、スマホアプリ内でのクレジットカード決済と、現金決済の両方に対応しています」(石狩市 企画経済部 江畠紀和氏)
ソリューション
「いつモ」は、世界 112 カ国以上で使われる交通アプリ Moovit を利用したサービスです。Moovit を使って目的地までの経路を調べると、既存の交通機関とオンデマンド交通を組み合わせたルートを見つけることができます。そして、アプリ内に登録したクレジットカードによって、そのまま予約ができます。利用当日、実際にオンデマンド交通を使って移動すると、その支払い処理が行われます。
この決済システムに Stripe が選ばれたのは、その世界的な実績と信用からでした。
「Moovit は Stripe と連携することにより、多くの国でサービスを提供してきました。私たちは、Stripe の決済システムは上手く動くという事実を知っており、アプリに組み込むためのノウハウも有しているのです。今回、日本で初となるサービス提供についても、クレジットカード決済に Stripe の仕組みを選択したことは、当然の結果でした」(Moovit App Global Ltd. Japan Country Manager ボワクセル・アドリアン氏)
「実のところ、海外のサービスを使うのはどうかという議論もありました。しかし、社会課題に立ち向かうためのシステムには、持続可能性が不可欠です。Moovit や Stripe は全世界で実績があり、いち早くサービスを始められるというポイントを評価し採用した結果、こうしてローンチすることができました」(石狩市 企画経済部 上窪健一氏)
結果
Stripe の決済サービスは、オンデマンド交通「いつモ」に対して、運営の安定性を提供しています。
「これまでトラブルもなく、設計通り決済機能が動いています。今後、定期利用のサブスクリプションや、割引プランやクーポン利用などを開始する際も、Stripe によりすぐに対応することができるでしょう。私たちは日本の都市交通がより快適になることを願っています。Stripe が決済面で支援してくれることはとてもありがたいことです」(Moovit App Global Ltd. Japan Country Manager ボワクセル・アドリアン氏)
「先行して始めた通勤オンデマンド交通においては、多くの企業から非常に良い反応をいただいています。市内にも新たな移動手段を提供することができるようになりました。雪が積もり、道が凍るような冬の北海道に耐えられる交通サービスにすべく、今後も実証実験を続けていきます」(石狩市 企画経済部 上窪健一氏)
本プロジェクトのシステム供給を担う丸紅は、さらなる日本社会への貢献を展望しています。
「Moovit は単にオンデマンド交通サービスを提供するだけでなく、移動データの取得や分析によって、地域の交通計画を改善していくことができます。『いつモ』を起点に、新たな公共交通のあり方を提案していければと思います」(丸紅 産業システム・モビリティ事業部 朝倉謙氏)
先行して始めた通勤オンデマンド交通においては、多くの企業から非常に良い反応をいただいています。市内にも新たな移動手段を提供することができるようになりました。雪が積もり、道が凍るような冬の北海道に耐えられる交通サービスにすべく、今後も実証実験を続けていきます