課題
Linear は 2020 年に設立され、サンフランシスコのベイエリアを拠点としてソフトウェア開発プロジェクト管理ツールを提供していました。ターゲットの顧客は、自社のようなスタートアップやアーリーステージの企業です。Linear は Stripe Atlas を利用して会社を設立し、決済処理には Stripe Payments を活用していました。当初のニーズはシンプルで、提供する料金体系モデルは 2 つでした。無料プランと 「顧客が支払い金額を決定できる」サブスクリプションモデルです。この負担の少ない方法で、よりきめ細やかなサービスを提供するために必要なユーザーを引き付けようとしました。
顧客への理解が深まるにつれ、自社プラットフォームの多様なユーザーに合わせて料金体系モデルをカスタマイズしました。その対象は中規模企業や急成長中の企業まで拡大しました。上場企業も多く含まれます。そのような中で同社が求めていたのは、ライセンシングの変更を随時管理できる柔軟性を備えた複数の料金プランと代替となるサブスクリプションモデルでした。そのためには、Linear にはパートナーが必要でした。それらすべてのオプションを一元的に提供し、成長に合わせて拡張できる請求ツールを備え、さらに購入完了率とグローバル展開に最適化された決済ソリューションを持つパートナーです。
「当社は顧客基盤の構築に注力しているため、バラバラなシステムやツールを管理するという状況は望ましくありません」と、Linear の最高執行責任者 Cristina Cordova 氏は話します。「ですから、適切な請求・決済システムを運用することが極めて重要なのです」
解決策
購入完了率を最適化しながら、顧客に多様な料金プランを提供する必要がありました。そのために Linear が採用したのは、経常収益を管理するための自動化ソリューションである Stripe Billing と Stripe の最適化された決済プロダクトです。このプロダクトには Stripe Checkout が含まれています。Stripe Checkout には、購入完了率の向上のために最適化され、30 以上の言語と 135 以上の通貨に対応した決済フォームがあらかじめ構築されており、人気のある各種の決済手段に対応しています。また、Stripe のスピーディーな決済機能である Link を利用することで、顧客の支払いと配送に関する情報を自動的に保存、入力できるようにし、よりスピーディーな決済を実現しました。
Linear は自社のブランディングに合わせて Checkout の色、フォント、ブランド設定をカスタマイズしました。このようなカスタマイズ機能は、製品デザインに「センス」を最優先する企業にとって重要な機能です。また、Checkout を利用することで、月次サブスクリプションから年次サブスクリプションへのアップセルを簡単に行えるようになりました。シンプルな切り替えボタンがあるためです。このボタンは、デフォルトで年間サブスクリプションの月額料金が低くなるように設定されており、ユーザーがそのオプションを選ぶ可能性が高まります。異なる料金体系の処理は Stripe がバックエンドで行います。
Stripe Billing API を利用することで、Linear のプラットフォームとの連携が容易になっただけでなく、過去 5 年間にわたる Linear のサブスクリプションサービスの変化にも柔軟に対応できました。同社は現在、3 つの請求プランと、大企業向けのカスタム料金体系を用意しています。また、Billing と連携したサブスクリプションスケジュールにより、経時的なサブスクリプションの変更に自動的に対応できます。たとえば、サブスクリプションのアップグレードやダウングレード、その他のサブスクリプションの変更などです。Linear は、サブスクリプションスケジュールを活用してライセンス変更を一元管理しています。これにより、請求処理を効率化し、顧客体験を向上させることができます。
「Stripe のマニュアルは非常に優れています」と、Linear のアメリカ国内のエンジニアリングリードを務める Tom Moor 氏は述べています。「エンジニアリング担当者の場合、ほとんどの処理をマニュアルを見ながら API を使って行うことができます」
結果
Checkout と Billing をわずか 2 日で導入
Stripe のテクノロジーは柔軟性に優れ、マニュアルも充実しています。そのため、Linear のエンジニアは初期の導入をスムーズに完了し、続いてサブスクリプションや料金プランを適宜変更することができました。たとえば、セルフサービス方式による支払いだけでなく、フォーチュン 100 社のような企業から求められる個別の料金設定にも対応できるようになりました。
スムーズなプロセスで支払いを受け取る
同様に、Stripe の最適化された決済プロダクトも大きな成果をもたらしています。Linear は複数の決済手段に対応しながら、いつでも新しい決済手段を追加できるようになりました。しかもエンジニアが追加で対応する必要は一切ありません。Apple Pay、アメリカの銀行振込、ACH ダイレクトデビットなど、複数の決済手段への対応を開始しました。なかでも銀行振込は決済処理高の 18% を占め、大規模な決済において同社で最も人気のある決済手段となっています。「ここ数年におけるエンジニアリング時間の短縮と顧客体験の向上は、その大部分は Stripe の最適化された決済プロダクトによって実現できたと考えています」と Moor 氏は述べています。
サブスクリプションスケジュールにより、24 時間サイクルでライセンス変更を統合
サブスクリプションスケジュールでサブスクリプションの変更を統合できるようになったことで、特に大企業の顧客体験が向上しました。顧客が 1 日のうちにユーザーの追加や削除を行ったとしても、Linear がその変更を手動で管理する必要はありません。Stripe がすべてのライセンス変更をスケジュール設定し、24 時間サイクルで請求の更新をトリガーします。
「この機能によって請求処理を効率化できました」と Moor 氏は話します。「この機能がなかったら、請求処理が本当に煩雑になっていたでしょう」
将来の成長に向けた強固な基盤
Linear は事業の拡大を進める中で、請求と決済をシームレスに処理する Stripe の活用をますます進めています。それに伴い、Linear の社内チームがコア製品に注力できる環境が整えられています。「Stripe のピュアプレイの実装環境には、一度設定すれば後は対応不要の要素があり、私にとって付加価値となっています」と Cordova 氏は話します。「時間が経過してもコアとなる実装環境への変更はあまり発生しませんし、新機能には一般に下位互換性があります。すべてが当社の業務を容易にしてくれます」
Stripe を導入したことで、当社の顧客が 10 社だった当時に機能していたやり方が、何万社もの顧客を抱えるようになった現在でもほぼ完全に機能しています。実装環境は多少高度になりましたが、それほど手間をかけずに拡張できます。