SaaS (サービスとしてのソフトウェア) を提供している企業は、ビジネスモデルの基盤としてサブスクリプション請求を長く採用してきました。また、サブスクリプション請求は、家庭用品から公益事業会社、フィットネスクラブに至るまで、あらゆる種類の消費者向けビジネスにとって必要不可欠なものとして、急速に普及しています。2023 年までに、75% もの消費者直接取引 (DTC) ブランドが、顧客に何らかのかたちでサブスクリプション請求を提供すると予想されます。サブスクリプションの請求と管理の市場は、すでに巨大化しています。Zion Market Research によると、2020 年だけで、この業界の価値は 60 億ドルを超えました。
さまざまな業種の非常に多くの企業がサブスクリプション請求を利用しているのは、この決済構造の重要なメリットのひとつである「柔軟性」のためです。画一的な請求方法とは異なり、サブスクリプションを導入すると、企業は自社のサービスや利用者に合わせてオプションをカスタマイズできます。
では、自社のビジネスに適したサブスクリプション請求モデルを判断するにはどうすればよいでしょうか。また、利用を開始するにはどうすればよいでしょうか。ここでは、サブスクリプション請求と、そこからメリットを享受する方法について知っておくべきことをご紹介します。
この記事の内容
- サブスクリプション請求とは
- サブスクリプション請求の仕組み
- サブスクリプション請求の種類
- 料金体系モデル
- 一般的な機能
- 料金体系モデル
- 企業にとってのサブスクリプション請求のメリット
- 自社のサブスクリプション請求を設定する方法
世界のビジネスリーダーを対象とした最近の調査によると、柔軟性に欠ける請求システムが原因で売上を失ったことがある企業は、38% にのぼります。請求システムを最適化して収益成長を加速させる方法については、請求システムが成長の妨げとなっていませんか? レポートをご覧ください。
サブスクリプション請求とは
サブスクリプション請求とは、企業が事前に定義した間隔で、利用者に製品やサービスの代金を繰り返し請求できるようになる決済モデルです。継続支払いの間隔は毎週、毎月、毎年のいずれか、あるいはカスタマイズした期間に設定することが可能です。
サブスクリプション請求の仕組み
サブスクリプション請求は以下の 2 つのいずれかの方法で機能します。
- 利用者に定期的に (毎週、毎月、毎年など) 請求書を送付し、利用者が各請求書に対して毎回手動で新たに支払いを行う。
- 利用者が決済手段の情報を送信して企業に登録するとともに、事前に定義したパラメーター (頻度、金額など) に従ってその決済手段に定期的に請求されるように事前承認する。
サブスクリプション請求の種類
サブスクリプション請求には柔軟性があり、使いやすく、カスタマイズ可能なため、多種多様な企業に人気があります。提供する商品やサービス、重視している顧客セグメントによって、サブスクリプション請求モデルを構築する方法は多数あります。ここでは、一般的な請求タイプと特徴を大まかにご説明します。
料金体系モデル
定額制
- 標準的な固定額の料金体系
この請求モデルでは、利用者は同一の商品またはサービス (通常は同一の使用量) の利用にあたり、すべての請求サイクルで同一の金額を支払います。たとえば、ある雑誌のサブスクリプション利用者は、雑誌 (印刷版) 1 冊と無制限にアクセスできるデジタルコンテンツに対して、毎月 19.99 ドルを支払います。
- 標準的な固定額の料金体系
変動制
- 従量課金ベースの料金体系
このモデルでは、利用者は各請求サイクル中に使用する商品またはサービスの使用量に基づいて請求を受けます。たとえば、公益事業会社は通常、この方法を採用しています。 - ハイブリッドまたは超過の料金体系
この請求モデルでは、固定料金を基本として、請求サイクル中に使用量が特定の基準値を超えた場合に、追加の料金が発生します。たとえば、一部の旧式携帯電話の請求モデルでは、1 カ月あたり 1,000 分までの通話は固定料金で、それを超えると 1 分単位で追加の料金が課されます。 - 都度払いの料金体系
顧客は単価に基づき課金され、使用量に応じて請求を受けます。
- 従量課金ベースの料金体系
フリーミアムの料金体系
フリーミアムの料金体系では、顧客は無料で一定の範囲の機能にアクセスできます。有料版にアップグレードすると、追加の機能、アクセス、サービスを利用できるようになります。
一般的な機能
サブスクリプションの商品やサービスをカスタマイズする方法は多数ありますが、過去の実績から、特定の種類のインセンティブがほとんどの利用者にとって魅力的であることが判明しています。ここでは、サブスクリプション数を増加させるために企業が使用する一般的な機能のほんの 1 部をご紹介します。
新規プロモーション
サブスクリプションでは、新規顧客にサービスやメンバーシップに登録してもらうための、特別な料金体系を提供することがよくあります。たとえば、スポーツジムのメンバーシップで、登録料を無料にしたり、新規会員に一定期間の無料パーソナルトレーニングを提供したりするプロモーションなどです。割引クーポン
割引クーポンは、サブスクリプション請求を使用するビジネスをはじめ、さまざまな業種および請求構造で用いられている一般的なマーケティングツールです。無料トライアル
無料トライアルも、サブスクリプションベースのビジネスでよく利用されている方法です。一部の無料トライアルでは、トライアルに登録する際に、トライアル期間が終了したら自動的に通常のサブスクリプション料金が請求されることを利用者に理解していただいたうえで、支払い情報の提供を求めることがあります。ビジネスによっては、無料トライアル期間の終了が近づいたときに、自動的に請求するのではなく、通常のサブスクリプションを自発的に選択できる機会を利用者に提供しています。
企業にとってのサブスクリプション請求のメリット
さまざまな業種や市場で多数の企業がなんらかの形式のサブスクリプション請求を利用しているのには、多くの理由があります。ここでは、サブスクリプション請求モデルを採用する大きなメリットをいくつか取り上げます。
ビジネスおよび市場の変化へのすばやい対応
サブスクリプション請求は非常に柔軟であり、企業は戦略的な意思決定を下すのに必要な使用状況に関する詳細なインサイトを取得できます。請求モデルでは、別の価格帯でのサービス提供、カスタマージャーニーの複数のタッチポイントでのインセンティブ、超過分の基準値と使用料金といった、必要に応じて変更できる側面が多数あります。貴社では今後、新しい商品やサービスをリリースしたり、新しい市場に進出したりすることがあるかもしれません。または、現在の業績データにおいて、すでに軌道に乗っている分野を強化するか、別の方向に転換する必要があることが示されているかもしれません。今後、貴社にどんな変化が待ち受けているとしても、変化に対応できる請求モデルであれば、柔軟に変化に受け入れて、成長することができます。顧客体験の向上
サブスクリプションの支払いは通常自動化されているため、利用者は商品やサービスの利用を継続するために特に何かをする必要はありません。利用者の手間が少なくなるほど、顧客満足度は高くなります。顧客維持率の向上
サブスクリプション請求を成功させるには、利用者が必要な情報を明確に伝えることが重要です。利用者が請求内容と支払い期日を正確に認識していれば、自分の支払いが何に対して行われるのかを把握し、サブスクリプションの価値を理解することができます。サブスクリプション請求のメリットは、顧客体験を向上だけではありません。自社の傾向と問題点を把握するのに必要なインサイトを取得することで、顧客の解約率を下げ、顧客維持率を最大化することができます。サブスクリプション請求を細かく追跡すると、そこから得られるデータを通じてユーザーに関する極めて実用的なインサイトを取得し、解約を減らして、解約の可能性がある利用者を再度引き戻すことが可能です。予測可能なキャッシュフロー
キャンセルや支払いの失敗などの変動要因が存在するため、サブスクリプションによる各月の収入を正確に把握することはできません。しかし、サブスクリプション請求モデルを使用すると、企業は収入予測の精度を向上させ、今後の手持ち現金を把握できるようになります。また、サブスクリプション請求を数年間使用すると、季節ごとのトレンドなどを把握し、収入を予測的にモデル化する能力を引き上げることができます。時間効率
サブスクリプション請求では利用者と企業の双方の時間を節約できます。自動化が可能なサブスクリプションのあらゆる側面 (継続支払い、決済手段の期限切れが近づいた場合の通知など) を可能な限り自動化 し、自動化できないタスクについては処理を効率化する方法を構築することで、サブスクリプションに関連する時間の無駄を全体的に最小化できます。利用者側からは、時間の節約を簡単に認識することができます。これまではサイクルごとに手動で支払っていた場合、自動で請求され、支払いの内容を示す請求書や書類が送られてきたら、利用者自身は何もする必要がないため、時間の節約を実感できるでしょう。支払いの失敗が少ない
サブスクリプション請求は、2 つの方法で支払いの失敗を減らします。1 つは、保存済みの決済手段を使用して支払いを自動化すること、もう 1 つは、有効期限が近づいているカードを期限が切れる前に事前に特定し、支払いの失敗が発生する前に利用者にカードを交換する機会を提供することです。2021 年には、Stripe Billing を利用した企業は、失敗した支払いを平均で 38% を回収できました。
企業によるサブスクリプション請求の設定方法
自社でサブスクリプション請求の使用を開始するには、決済処理プロバイダーが必要です。すでに他の方法で利用者の決済を受け付けている場合、サブスクリプション請求も開始できる可能性があります。Stripe のユーザーはサブスクリプション請求プランを提供するために必要なものをすべて備えています。Stripe Billing はエンドツーエンドの請求ソリューションなので、グローバルな継続支払いの導入を検討している企業に最適です。Stripe Billing は現在お使いの決済ソリューションと簡単に連携させることができます。また、ダッシュボードからあらゆる機能にアクセスできます。
Stripe と連携することで、サブスクリプション請求モデルを主要な決済戦略として導入するか、あるいは対面またはオンラインでの 1 回限りの取引など、より複雑な決済戦略にサブスクリプション請求を含めることができます。Stripe にユーザー登録をしたら、サブスクリプション請求をどのように始めるかについて、下すべき決定事項がいくつかあります。検討すべき点
- サブスクリプションの段階は 1 つですか。それとも複数ありますか。各段階には何が含まれますか。
- 固定料金ですか、変動料金ですか。変動料金の場合、どのような要素に基づき変動しますか。使用量の基本的な「単位」は何ですか。
- たとえば、SaaS 企業の場合、ソフトウェアにアクセスするユーザー単位で利用者に請求することがあります。コワーキングのスタートアップ企業では、1 カ月に利用できるスペースの時間数または日数に基づいて請求する場合があります。
- たとえば、SaaS 企業の場合、ソフトウェアにアクセスするユーザー単位で利用者に請求することがあります。コワーキングのスタートアップ企業では、1 カ月に利用できるスペースの時間数または日数に基づいて請求する場合があります。
- どのようなインセンティブを導入していますか。
- サブスクリプション請求モデルは、そのモデルを支えるマーケティングプランと密接に結び付いています。たとえば、無料トライアル、あるいはアフィリエイトマーケティングやインフルエンサーマーケティングに関連するクーポンコードを提供しようとしている場合、サブスクリプション請求の初日から導入することを検討するとよいでしょう。
- サブスクリプション請求モデルは、そのモデルを支えるマーケティングプランと密接に結び付いています。たとえば、無料トライアル、あるいはアフィリエイトマーケティングやインフルエンサーマーケティングに関連するクーポンコードを提供しようとしている場合、サブスクリプション請求の初日から導入することを検討するとよいでしょう。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。