全世界での 3D プリンターの販売台数は過去 3 年間で 3 倍以上。MyMiniFactory はこの急激な需要増加を利用できる絶好の立場にあります。イギリスを拠点とするこのプラットフォームは、3D プリントのクリエイターと自宅で 3D プリントを実行してデザインの装飾に没頭するマニアとがつながります。

MyMiniFactory は活気のあるマーケットプレイスを運営しながら、デジタル疲れとコロナ禍での在宅時間の増加によって世界中で多数増加してきているオーディエンスのコミュニティーとしての役割も果たしています。

メディアでよく取り上げられる 3D プリントは医薬品や製造業などの分野に集中していますが、その技術はテーブルトップゲームでも幅広く使用されています。テーブルトップゲームはボードゲームとロールプレイングゲームを含む 120 億ドルの市場であり、多くの場合、ファンタジー、戦争、SF といったテーマを伴います。

MetaReverse

テーブルトップゲーマーは MyMiniFactory を使用して、戦車、野獣のような「トカゲ」の大群、またはゲートハウスを製作できるデザインを探し、購入します。3D プリントの成果物はグレーの樹脂でできた物体なので、マニアの多くは細部にわたって複雑なペイントも施し、さらには自分の作品を MyMiniFactory のサイトに公開しています。テクノロジーを利用して他の人と現実世界でもう一度つながるというこの体験を MyMiniFactory は「MetaReverse」と呼んでいます。

MyMiniFactory の最高財務責任者 Matthew Weston 氏は次のように述べています。「3D プリントの製作者は単にアイテムをプリントして棚に飾っているだけではありません。プリントしたアイテムはソーシャルアクティビティーに使用されています。そのすべての過程こそが人々を熱狂させる要素なのです」

このサイトは 2013 年に開設され、現在では数千人のクリエイターが 100 万人を超えるマニアにデザインを販売しています。

Weston 氏は次のように述べています。「3D プリントに興味を持ち始める人が増えるにつれて、クリエイターは自分のデザインを販売することができれば、それを本業にできる可能性があることに気が付きました。30 人の従業員を抱える会社を経営しているクリエイターもいます」

副業から本業へ

MyMiniFactory のクリエイターとして確固たる地位を築いている Cast n Play の Alejandro Zaragosa 氏は、Terrain Essentials という人気シリーズを製作。ゲーマーはこのシリーズを使用して手の込んだインドアの世界を構築します。メキシコシティ在住のZaragosa 氏は、当初は 3D ゲームの部品を自分で設計し、プリントしていました。というのも、地元では手に入らなかったからです。次第に他のマニアが興味を示すようになったので、Zaragosa 氏は共同経営者でもあるガールフレンドの Mariana Luna 氏とともに、MyMiniFactory との関係を結ぶことになります。

Zaragosa 氏は次のように述べています。「すべてを単一のプラットフォームに集約するよう提案されました。これにより、お客様は複数のサイトを行ったり来たりせずにファイルをダウンロードしたり、クリエイターを見つけたりできます。そしてクリエイターはサイトとともに成長します。新しい機能がリリースされたら、我々はその機能を試し、それを使用するプロジェクトを作成するのです」

ワンクリックの決済でコンバージョンを強化

MyMiniFactory は 2018 年にデザイナーのための店舗を立ち上げ、以来、各種の機能を追加してきました。資金調達用の Pledge Manager、月額制サブスクリプション用の Tribes、プリセールス用の FronTiers といった機能です。MyMiniFactory はこれらの機能を Stripe 上で実行。最近では、Stripe Checkout、Payments、Tax に加え、Link by Stripe も使い始めています。これにより顧客の支払い情報と配送先情報が自動入力され、ワンクリック決済が可能になります。MyMiniFactory は、Link によってコンバージョン率が 7% 以上上昇すると予測しています。

Weston 氏は次のように述べています。「お客様に頻繁にアクセスして定期的に購入してもらえるマーケットプレイスを実現するには、ワンクリック決済が非常に有効です。お客様のために Link が有効になっていることをできるだけ早く確認する必要がありましたが、頭を悩ませることもなく簡単にできました」

さらに多機能でお求めやすくなった 3D プリントテクノロジーのおかげで、MyMiniFactory の成長の余地はかなりあります。MyMiniFactory は 2022 年の初めに 3DC を買収。3DC は、3D プリンターを持っていない購入者に 3D デザインをプリントして配送する会社です。さらに、 MyMiniFactory はゲームの枠を越えて、機械工学、玩具、宝石類など他のジャンルにまで拡大しつつあり、3 軸トゥールビヨン機構を用いた 230 ピースの時計、リモコン操作のスノーモービル、楽しいテーブルトップのスタッキングゲームといったデザインを扱っています。

Weston 氏は次のように述べています。「当社は新たなインディクリエイターによる市場の開拓を支援していますが、最初のコミュニティーは今でも当社と非常に緊密に連携し、離れずにいてくれています。その理由は、当社が今も昔も変わらずに、クリエイターが情熱を傾けるものに、情熱を傾けているからです」